道を尽くす

二宮金次郎はいいました。 「道を実行することは難しい。道が行われなくなって久しい。才能があっても、カがなかったときは行われないし、 才能や力があっても、徳がなければまた行われない。徳があっても、 位がないときはまた行われないだろう」 そんなことを聞くことがある。 けれども、これは大道を国家天下のもとで行う場合ではないか。それならば、難しいの は当然である。しかし、私の道(仕法)を行うときには、人物がいないことや位がないことを心配したりはしない。

茄子をならすのは、茄子づ くりの百姓が立派にこさえればいい。
馬を肥やすのは、馬子がみごとに育てればいい。一家をまとめるのは、亭主がうまく行えばいい。あるいは兄弟親戚、朋友同志がお互い結束してこの道を行えばいいのだ 人々がこの道を尽くし、家々そして村々がこの道を踏み行えば、どうして国家が復興しないことがあるだろうか。